働くことがイヤな人のための本

働くことがイヤな人のための本 (新潮文庫)

働くことがイヤな人のための本 (新潮文庫)

いや、本気で仕事がイヤになって手に取ったわけでなく、久々に毒にあてられたくて買いました。
なにせあの中島義道氏ですからねw、期待どおりの毒に満ちてましたね。


あとがきで評論家が言ってるように、決して万人に受け入れられる内容ではありません。
ただ、巷で言ってる格差社会を考える一つのヒントがこの本にはありそうです。

  • 努力をしたので成功した
  • 努力をしなかったが成功した
  • 努力をしたけど失敗した
  • 努力をしなかったので失敗した


上記はどれが正しいことを言ってるんでしょう。
この本に習って言えば、どれも正しく、どれも正しくない、となります。
これは、”ああ言えばこう言う”ような詭弁の類なのでしょうか。


いや、こればかりはどんなに不本意であろうとも、この本を拒絶しようとも、
打ち消しがたい事実だと思います。
それはつまり、世の中は理不尽で不条理で、全く道徳的に安住できる場所は無い、ということ。


この本の後半では、”じゃあどうすれば良いのか”の答えに対し、
哲学者の道がある、と説いています。(というか、そう思える。)
けど、それは多くの平凡な人への答えになるはずがないでしょう。
それに、”理不尽を味わいつくすことこそ人生”みたいな話にも、
私は正直辟易してしまいます。


それでも、この本から受け入れたいと思ったのはこういうことです。
成功者は、その成功の大部分が運によるものかもしれないことを認め、
敗北者の努力不足をなじることを(それが事実であっても)グッとこらえること。
逆に、敗北者は、その失敗を社会や不運のせいにばかりせず、
グッとこらえて成功者の努力を認める(それは運かもしれないが)こと。


強者の傲慢も、弱者のルサンチマンも、どちらも理不尽を覆い隠すための自己欺瞞に満ちています。
しかも、その両者がぶつかりあうなんて、不毛以外の何者でもないと考えるのです。
理不尽もイヤだけど、虚無はもっとイヤだ、と自分が思っていたことを再認識した一冊でした。


流行の成分解析風に言えば、

lamuuの80%は偶然で出来ています。
lamuuの20%は必然で出来ています。

これくらいの気持ちで驕らず腐らずいきたいもんです。
(20%なんて、十分驕りだなw)