人間の安全保障

人間の安全保障 (集英社新書)

人間の安全保障 (集英社新書)

前から「人間の安全保障」ってピンと来てなかったので、
なんとなく手に取った新書。

  • 人間の安全保障という概念。不利益を被るリスクの低減が大事。教育が鍵。
  • グローバル化は正しい。ただし富の分配ルールの不公平さが問題。
  • 民主化と西洋化は別の意味。本質は公共の論理(少数意見を尊重、他人の意見には学ぶべき)にある。
  • 人権という概念の曖昧さ。それは権利と完全義務/不完全義務の相関関係の曖昧さからくる。しかしそれでも人権を推進する手はあるはず。
  • 核の抑止力は完全に検証されていない。インドが核開発に進むのは間違い。


相変わらずピンとこなかったですw。
なんでしょう、「人権」は”範囲が曖昧”だとか、いろいろ言われますが、
情に訴える力が人権という言葉にはあるような気がします。


そう思えるのもおそらくは、人権が既に広く受け入れられている概念だからでしょう。
だから、「人間の安全保障」もこれからの取り組み次第で、もっと力ある言葉に
なるのではないでしょうか。


と、この本は題名こそ「人間の安全保障」なのですが、
中身は、”セン博士世界を語る”とでも付けたくなる小論文集です。


それで、民主主義について語られてる章があって、ふと考えたのは
「官から民へ」というあの人の言葉。
あの「民」ってのはきっと民営という意味しか込められてないけど、
多くの人が期待を込めたのは、たぶん「民が主(あるじ)」である「民」
だったのではないか、と。


言葉は良い意味でも悪い意味でも力を持つことがあります。
「官から民へ」も「人権」も力を持った言葉になったけれど、
その本質をいつも検証する態度が必要だなぁ、と思った本でありました。