失踪日記

失踪日記

失踪日記

遅ればせながら、吾妻ひでお失踪日記』を読んだ。


部類としてはいちおうギャグマンガなんだろうけど、冷静に考えるとすごく怖いコマがある。
雑木林で自殺しようとしたり、アルコール依存症のために幻想を見ちゃったり。
たぶんそんな、”ネタで浮浪者したんじゃないの?”などとは微塵も疑わせない、
本気の失踪、本気の逃亡にスゴみを感じるから面白いんだろう。


こういう、社会を捨てる話ってある意味、癒される。
社会を捨てるということでは出家も似たようなもんだろう。
こっちの、出家した経験を綴った著者はこう語る。

食う寝る坐る永平寺修行記 (新潮文庫)

食う寝る坐る永平寺修行記 (新潮文庫)

生きるということは、何も特別なことではなく、突き詰めると、食べることと排泄することだとも言える。


最近、多くの人がそうだろうけど、”人生に何か付加価値を付けねば”って思い込みすぎてんじゃね?
こんな時代だから、こんなマンガがウケて、手塚大賞取っちゃったりするのかも。
それにしても、失踪って…魅惑的なコトバである。